あなた本意の家づくり

釧路の設計事務所、一級建築士事務所 設計処櫻のブログ

column07 -お家10年分ください-

昨年、定年を機に釧路へUターン(親と同居)する方の「実家リフォーム」を設計監理しました。

 

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築40年を超える住宅ですから、基礎や木軸組の耐震化も含めたほぼスケルトンのリフォームで、メインはバリアフリーと断熱改修。釧路市助成金申請を経ての工事でした。

ちなみに、外観の変化はこんな感じです。

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基本的に高齢者に危険な個所はなるべく改善するように考えたリフォームです。

ほぼ新築並み(差額は大きいですが…)の費用を要しましたが、出来上がりはまるで新築のようで、今年の冬は寒かった釧路ですけれど、とても暖かいと喜んで頂けました。

 

そして今年も、昨年に引き続き、親との同居を考えたUターンのリフォームの相談を頂いていて、設計や工事費用もほぼ確定し春先から工事が始まる予定です。

こちらは築年数が19年と築浅なので、メインは間取りの改修になります。

このように、最近、リフォームの話が増えてきています。

私も施主とほぼ同世代ですから、親との同居という面での事情をとても理解できますし、古い建物を上手に活かしていくことは、とても良いことだと思っています。

 

一方、全国的な問題になっているのが「空き家・空きビル」の問題です。

住人が居なくなったり、使用されなくなった建物が放置されたまま朽ちていっているのを目にすることも多く、中には、周りに危険が及ぶようなものもあり、問題になっています。治安的にもあまり宜しくないですよね。

そうなった事情は、相続問題や所有者不明など様々…なかなか法的解決が難しい事案も多いことでしょう。

 

建築業界は今まで、多くは解体して建てるを繰り返してきました。

しかし、昨今の建築資材の高騰(その割に所得が上がらない現実)や、これからの人口減少(釧路市の試算では2030年に人口13万人になる)を考えると、それにも限界が訪れるような気がしますから、地域にある空き家、空きビルをキチンと使えるうちに、又は使えるように改修して活用できれば、地域的にもコンパクトに整備していけるように思うのです。

 

ワタシの経験上、住宅の新築時の難しさは、現在の生活スタイルにも併せながら将来的なスタイルも考慮することです。

人生は、家族と共に幼少時を過ごし、就学や就職の為に家を出て、結婚・出産で家族が増え、子供が巣立ち、夫婦で暮らし、独りになる。こんな感じが多いと思いますが、この途中で、世帯の同居なども有るだろうし、子供がずっと家に居ることもあったり、離婚や再婚などによって、住む人数が変わる場合も考えられます。

結果、いくら新築の時に想像をして配慮しても、生活に合わなくなる場合も有ります。

一般的には、そういった場合、買い替えをしたりしますが、今の35~40年という住宅ローン期間を考えると、それもなかなか難しかったりするでしょう。

 

そこで、タイトル「お家10年分下さい」の登場です。

これ、かれこれ10年以上前から、ぼんやりとお考えていたことで、以前、ブログの記事にしたことがあったのですけれど、肝心な記事を探し出せません ^^;

切っ掛けは「ト○タ3年分下さい」とCMにあったカーリースのCM。

車と同じように、用途や家族人数によって住み替えられる家があっても良い?と思ってしまったのです(笑)

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2人で住む家 → 4~6人で住む家 → 2人で住む家 → 1人で住む家というように、人生の移り変わりで「住みかえられる」家づくりも良いのではないかというものです。

 

それは賃貸でしょ。と言われるかもしれませんが、いいえ、違うんです。

賃貸は所有者に賃料を支払って終わりです。

そうではなくて、住宅ローンや賃料のように支払った金額の積み重ねで、自分に合ったサイズや場所の住宅に住み替えることができるというシステム。

住宅の金額(月々の支払)は、立地条件や広さ、仕様などによって住宅毎に設定され、支払い続けることで住み替えながら住み続けることができます。

最期に住むことを止めるときには、支払ってきた金額から修繕費用などの諸経費を差し引いた額を住人が得られるようにすれば、建物は放置されることなく受け継がれていきます。

コンパクトなまちづくりが推進され、不動産を持ち続けたからといって価値が上昇するとは限らない今だからこそ考えられるシステムかな?と思うのですけど、どうでしょうね。

そして、それにこの空き家や空きビルが活用されれば、それらの問題も少なくできるかもしれません。登録制などでできないものでしょうか…。

 

もちろん、建物やお金を管理する主体、法的な部分も含め問題は満載ですし、建築士としては、施主の夢を持った新築住宅をつくるお手伝いがしたいです。

でも、これからの時代、こういうカタチも必要になってくるかもしれません。

ソフトがアプリと呼ばれ、買い取っていたものがサブスクに移行した変化のように、住宅の在り方も変化する必要が有るかもしれません。

 

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