ワタシの住む(=仕事場がある)地域は昭和50年代の初めに造成された分譲地。
その頃に道立高校、町立の小学校と中学校が新築され、教員のために建った教員住宅(RC造)も数年前から空室になり、ここにきてとうとう売却&解体されはじめました。
昭和56年以前の建物ですから構造的には耐震補強しなければならないし、昔の狭い間取りですからリノベーションにも限界が有ったのでしょう。
解体後の土地には何が建つのでしょう。多分、宅地に造成されるのではないかと思いますけれど…ちょっと楽しみです。
一般の住宅は?というと、最初の頃に建った家は築40年を超えますし、昔は家を持つ年齢が高いことが多かったことから、主の現年齢は70~80歳代中心。「施設への入居」や「相続」による家の処分が、ここ10年くらいで多くなっています。
・家を建てることはステータス?
昭和の時代、家を建てるということは人生のステータスと思っている人が多かったと思います。「いつかはクラウン」と一緒で成功のシンボル的な感覚だったかもしれません。昔は、今のような低金利の住宅ローンも無く、住宅金融公庫での全額融資も無理。多くの人は自己資金+共済など2~3カ所らの融資の合算で家を建てていたようです。釧路で言えば、土地の価格的には今とそんなに変わっていないかもしれません。
十年くらい前に昭和45年の釧路市内での一般的な住宅新築の見積書を見たことが有るのですけど、土地700万円、建物800万円と書いてありました。土地の価値が高かったようです。だから資産価値もあったのでしょうね。そんな時代に建った築40年を超える住宅を今どうしたら良いのでしょうか。
・旧耐震と新耐震
関東大震災の翌年(大正13年)に世界に先駆けて定められた建物の耐震基準が設けられましたが、その後、昭和56年6月に基準が大きく見直された新耐震基準が施行されました。簡単に言うと、震度5でも倒壊しない→震度6でも倒壊しないくらい変わったらしく、古い図面を見てみると、基礎の鉄筋の種類や本数、耐力壁(スジカイ)の配置や柱の太さ、使用する金物などが現在の考え方とは異なります。
その後も、大きな地震など災害が有るたびに基準が見直されて現在に至りますが、この昭和56年6月での大きな見直しによる新耐震構造への適合のための耐震改修が住宅のリノベーションの大きな壁になっているのは言うまでも有りません。
・ワタシの実家に思う
実家(ワタシの家兼仕事場の隣)はワタシが中学校に入学する年に建てられました。昭和53年ですから旧耐震です。
今年、母が亡くなり実家には一緒に住んでいる27歳の甥と猫2匹が残されました。ワタシは実家の隣に建っている家族所有のアパートの1室に住み、仕事場もそこにあります。
弟は仕事の都合で札幌へ移り住んでいて釧路には戻ってこないし、60坪を超える広さは甥には広すぎます。
光熱費などの維持費も広いなりにかかりますし、省エネと耐震改修を伴うリフォームをするにはかなりの費用が掛かりますから、どうしたものかと考えてしまいます。
もちろん、工務店を営んでいた父が当時、モデルハウス的に建てた家ですから、ワタシ的に思い入れも多くありますし、センスなどは別として(笑)今じゃなかなかできないよね…というモノもありますから、これから大いに悩むことになりそうです。
・住宅の在り方
昭和→平成→令和と時代が移ることで家への考え方も変わってきたように感じます。
土地が高価な都心部では主に分譲マンションが人気。その中で高級な地域の住宅に住むという「ステータス」は残っているかもしれませんね。
土地が安価な地方都市では戸建て住宅が一般的かもしれません。賃貸マンションに住む家賃と同じ金額でローンが組める…というのが売りだったり、省エネなどの性能に特化した商品が売りだったり…さまざまな選択肢から選んだおうちを買ったり建てたりしている人が多いと思います。
土地が安い地域での住宅は不動産としての資産価値はそれほど高くなく…ましてや片付けや解体費用を相殺するとなると思った金額にはならないものです。
そして、地方都市での人口減少は著しく、子供たちが進学や就職で都心部に出て行ってしまい戻ってこないという背景もあります。
ワタシの世代でも同級生の多くが釧路を離れているというのが現状で、実家は売られ、その多くは解体またはリフォームされています。
そう考えると、今の住宅の在り方は「自分たちの家」が正解なのかもしれません。
・「おうち」という「ハコ」
自分のおうちを持とうとすると、人それぞれ色々な思いと考えを持ちますね。
中古の住宅を買って(譲られて)リフォームする、立地や資金などの条件で分譲マンションを買う、分譲住宅を買う、家を建てるとしても断熱や構造などの性能を重視して、またはデザインも含めてハウスメーカーを決める、地場の工務店に依頼する、設計事務所に依頼する…色々な方法が考えられます。
住む地域や状況によって選択する方法は違うかもしれませんけれど、前述した通り今は不動産という資産を残すということよりも「自分たちの生活拠点をもつ」ということを目的とすることが、今後の家づくりにとっては大切なことかもしれません。
おうちはステータスや周りの人に自慢するものではなく、自分と自分の家族…自分たちの毎日をより豊かに過ごすための「ハコ」で、性能やデザインは その豊かさを向上させるためのツールということなのかもしれません。
・これからのおうち
地方都市は年々…日々、人口が減っています。
釧路市1980年の227,000人をピークに現在は166,000人。20年後には100,000人になる予測です。釧路町は2000年の22,400人をピークに現在19,400人。
特に生産年齢人口が少なくなっている傾向があるようで、このままではインフラ整備もままならなくなることから、国の政策としてコンパクトシティ構想が進められています。
数年前、「トヨタ3年分下さい」というCMが流れていた時に「おうち10年分下さい」というカタチはできないのかしら?と思って記事を書いたことが有ります。
夫婦2人+小さな子供(10歳くらいまで) → 夫婦2人+大きな子供(20歳くらいまで) → 夫婦2人 このような住み替えがスムーズにできる「安価買取可能なリース」のようなシステムができれば良いのに~というものでしたが…その記事を探すことができなくて…UPできないことが悔しいです。探し出せたらUPしますね。
建築士として、まちづくりやデザインを日々考えているワタシのアウトプットは、知識をアウトプットすることで皆さんの家づくりと応援&お手伝いすることです。
ただ、今年はコロナの影響もあり、なかなかインプットができない状況なので、アウトプットもなかなか難しいという感じかもしれませんが、頑張ってお伝えできればと思います。
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