あなた本意の家づくり

釧路の設計事務所、一級建築士事務所 設計処櫻のブログ

Column05 -無垢フローリングはメンテナンスが大変?-

櫻で設計監理した住宅のおおよそ90%が『無垢フローリング』を採用しています。

樹種はカバ、ナラ、クルミが多く、お好みで節有節無などを選択していきます。

樹種が同じでも無垢材ですから、色合いや感触などに微妙な違いがあるのですが、それもまた個性として面白いのが無垢フローリングの良いところです。

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左から カバ(水性ワックス) クルミ(蜜蝋ワックアウ) カバ(蜜蝋ワックス) ナラ(ラスティック・オスモカラー)

見た目もよくて足触りが優しく温かみを感じる無垢フローリングですが、メンテナンスが大変~と、よく言われているようです。

 

先日も、住宅を新築されるお客様との打ち合わせで、その話題になりました。

無垢フローリングは傷つきやすくてメンテナンスが大変ですよね」

 

さて…本当に『大変』なのでしょうか。

櫻の答えは「そんなに大変じゃありませんよ」です。

その理由を下記にまとめます。

 

◎本当に傷つきやすいの?

傷はつきます。それは一般的な木質系のフロアにも言えることなのですが、無垢フロアの場合は表面に保護シートが無い分、ダイレクトにひっかき傷や凹み傷がつきやすいです。また、表面に塗装をしたものだと傷の部分だけ木そのものの色が現れますから、見た目的に「こすけた感じ」になってきます。それを「味」と感じるかどうかは住む方の好みなので…どう感じるかはあなた次第。

傷がつきやすいかどうかは樹種にもよります。パイン材や桐材は柔らかいので傷がつきやすく、ナラやクリ、ヒッコリーなどは少し硬いので傷がつきづらくなります。

傷のつきやすさは表面の仕上げにもよります。ワックスでも天然ものか硬質ワックスにするかにもよりますし、塗装もどのような塗料を選ぶかで変わってきます。

 

◎傷がついたら直せないの?

傷は直せます。それはもしかすると一般的な木質系フロアよりも直しやすいかもしれません。一般的な木質フロアは、もしシートが傷ついて切れたり凹んだりした場合には専用の着色剤を使い傷を目立たなくします。もし下地の合板まで見えている場合には張替えるというのが一般的なようです。

一方、無垢フローリングの表面の傷は、紙やすりで擦って傷を目立たなくした上で、使用しているワックスや塗料で仕上げます。凹み傷の場合は繊維が着れてしまった場合を除き、スチーム(アイロンやケルヒャーなど)をかけることで繊維が膨らみ凹みが目立たなくなってくれます。物を引っかけてささくれ立った時には、木工用ボンドを塗ってしばらく圧着したあとで紙やすりをかけワックスなどで仕上げます。

それでも稀にですが木材の癖でねじれが出て割れたりすることがあります。この場合には張替えをすることになりますが、それ以外は、紙やすり&スチーム&木工用ボンドがあれば普段のメンテナンスが自分でできるという簡単さがあります。

 

◎水回りやキッチンにも大丈夫なの?

無垢フロアでも塗装品を使用したりワックスをまめにかけているのであれば基本的には大丈夫なのだと思います。ただ、トイレだけはどうしてもアンモニアが気になるのでフロアタイルにすることが多いです。

せっかく気持ちの良い無垢フローリングを採用したのにお手入れに一生懸命になりすぎるのも楽しくありませんからね。部屋の用途によっての使い分けは必要だと思います。

 

◎櫻が無垢フローリングを勧める理由

櫻がお勧めする無垢フローリング。多いのは「無塗装+蜜蝋ワックス仕上」です。

・断然、足触りが良い。

冬の寒い日には温かく、夏の高湿度の時にもベタベタせず、1年中裸足で過ごしたくなる心地よさ。

・赤ちゃんやペットにも安心

おすすめの蜜蝋ワックスは天然の蜜蝋とエゴマオイルで作られたもので口に入れても害のないものを使用します。なので赤ちゃんやペットが舐めても大丈夫。また、塗布が簡単にもかかわらず撥水効果も高いものなので、キチンと塗っていれば飲み物をこぼしても大丈夫です。

未晒し蜜ロウワックス|小川耕太郎∞百合子社 (mitsurouwax.com)

・自然な木目で汚れが目立たない

今までの経験上ですが、住んでから数年たった子育て世代のお家にお邪魔すると分かるのですが、よ~く見ると床に色々な色の汚れがついています(笑)普通につく汚れはもちろん、クレヨンだったり絵具だったり…意外とカラフル。それでも、自然な木目と色合いがその汚れを目立たなくしてくれます。ワックス効果が効いていれば表面を拭くだけ、ひどい汚れは傷の補修と同じやり方で取り除くことができます。

・傷がついても補修が簡単

塗料を使わないと傷がつきづらいように思いますけれど、逆に傷がついても補修が簡単です。前述しましたが、紙やすりやスチームを用いた後にワックスを塗ることで補修できますから、わざわざ職人さんを呼ばずに完結できちゃいます。

 

◎それでも気になるメンテナンス

無垢フローリングの厚さは12~18mm、幅は90~150mm程度が一般的です。

フローリングのさねとはどの部分?床鳴りの多い部分は? | リノわん ...

その貼り方はサネという部分を差し込みながら、細い釘や接着剤を用いて施工します。すると、どうしても90~150ピッチで隙間ができます(一般的な木質フロアはこのピッチが303~455㎜になります)

この隙間に埃が詰まって掃除しづらいという話がWeb上に書かれてあります。

なぜこの隙間ができるか?ですが、無垢の木はその性質上、湿度によって若干ですが伸び縮みがあります。例えば、乾燥した冬の季節に隙間を作らずピッタリと施工すると、湿度が高くなる夏にこの継ぎ目が盛り上がり足触りが悪くなるとともにフローリングが割れる原因にもなります。逆に、湿度が多いときに隙間をあけて施工すると乾燥する冬にはその隙間が大きくなり見た目が悪く埃やゴミが入りやすくなります。

季節だけに限らず室内の仕上げを漆喰や珪藻土などの塗壁にしている場合は真冬でも現場の湿度は上がりますから、それを見極めての施工が必要になります。

これは樹種にもよりますから一概には言えませんけれど、それを分かっている大工さんが施工するのと分かっていない大工さんが施工するのとでは仕上がりに大きな差が出てきます。

なので、施工する季節や状況などによって見極めながら気を使って施工してくれる手慣れた大工さんが安心なのですが、地域によっては限られてくるかもしれません。

こういう事も有ってか、工務店ハウスメーカーではクレームを避けたいこともあり「無垢はメンテナンスが大変ですから」と説明することも多く、それが一般的な話になったのかもしれませんね。

 

◎それでも無垢フローリングにして良かった

櫻がお客様に無垢フローリングをお勧めするときには、ここに書いたようなことを全てお話しします。メリットとデメリットをお伝えすることは大切ですよね。

この時点では、まだ迷いのあるお客様も、引渡し済みのお家を見学させてもらうことで「大丈夫かしら」が「大丈夫」に変わり、無垢フローリングに決められる方が多いのが現状です。

今までの事例では確認したお客様の殆どが「無垢にして良かった」と仰ってくれているのも嬉しいことです。

普段のお手入れについてお客様たちにお聞きすると、クイックルワイパーやダスキンモップで拭ているだけ~という答えが多く、それでも綺麗に保たれているお家がほとんどです。

家を建てるのは子育て世代が多いので、床に傷がつくのは当たり前です。

ですからワタシは

「でも怒らないで自由に走り回らせて!」と引渡しの時に伝えます。大切なのは家族がストレスなく暮らすことです。そのために家があるのです。

子育てが終わったころ、床の傷や汚れが気になったら業者に依頼して表面を少し削ってもらい塗装やワックスをかければ綺麗がよみがえりますから心配することはありません。その頃には孫がまた傷をつけてくれるかもしれませんね(笑)

 

◎まとめ

家づくりに大切なことは、その仕様についてメリットとデメリットをきちんと知ったうえで自分(と家族)に合ったものを納得して選ぶということです。

こうなると思わなかった、こうなるはずじゃなかった…にならないように、櫻はあなたの家づくりを応援します。

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