昨年改正された建築基準法が今年6月から施行されました。
その中の一つ「建築確認を要する特殊建築物の範囲の拡大(法第6条1項一号関係)」があります。内容としては、用途変更を含む確認信申請手続きが必要となる規模が100㎡を超える特殊建築物から200㎡を超える特殊建築物となります。
この改正で、今まで法第6条第1項第一号建築物であったものが四号建築物となり、審査の特例を受けられるようなりました。
4号建築物とは、200㎡以下の建物で建築士が設計をするものとなり、また、用途変更の手続きは200㎡までのものは確認申請手続きが不要となります。
この改正の背景には、古い建物を改築した民泊やB&Bなどの宿、カフェなど…多様なリノベーション事業が増えたことから、その手続きを簡略化することで滞りなく事業を進めることができるようにした。というものだと私は思っています。
特に、古い建物だと既存の確認申請や検査済証が現存していない場合が多く、確認申請に至るまでの手続きにかなりの時間を要するため、この改正によってリノベーションがとても計画しやすくなると思われます。これからの時代、とても良いことだと思います。
ただし間違ってはいけないのは、確認申請の手続きは簡略化(不要)になるけれど、建築基準法の技術的基準に適合しなければならない。ということです。
また、用途によっては消防法により必要な消火設備が変わってきます。こちらは、確認申請の手続きが必要無くても整備しなければいけないところでもあります。
よく、確認申請が要らない → 審査・検査が無い → 法的基準はどうでも良い。というように解釈されるため、違法な建物も多く存在するのも事実。
この法改正を知った時、仕事がしやすくなった半面、正直、違法な建物が増えそう…と思いました。行政は「建築士がきちんと設計しているものだから」と言いますが、一番怖いのは、建築士に相談、設計依頼なしに工事されてしまう合法性、安全性が確保されていない建物が増えることです。
邪魔だったから柱や壁を無くした。必要ないから窓をふさいだ。補強なしで1階を2層に分けた…逆に吹き抜けを造った…などはよく聞く話ですし目にしたりしますが、実際、これで大丈夫?というものも多いものです。
特殊建築物の殆どは不特定多数の人間が使用する建物ですから、建物の構造耐力や衛生面、防災などに関する安全性は最低限確保しなければなりません。その安全性を定めて担保すのが法律です。もし万が一、違法なことが起因する問題が起きたとしたら、それは全て事業主と建物のオーナーの責任になりますから、合法であることは重要なことです。よく、自分は素人だから建築会社に任せたから責任はそちらで…ということを耳にしますが、数年後にでも、もしもその会社が無くなっていたらどうでしょう。損害賠償が発生した場合はだれが責任を持つのでしょうか。
crash&buildからrenovationに転じてきた今。そして、これからの時代。受け継ぐ人の為にも、今一度、きちんと考える必要が有ると思います。
もし、何かのリノベーション(もちろん新築も)を計画するのであれば、まずは信頼できる建築士(設計事務所)にご相談ください。問題が起きてからだと二度手間になったり、余計にお金がかかってしまうことがありますから「まずは最初に」がお勧めですよ。
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